「ウィリアム・アッカーマン 奈良・春日大社 林檎の庭 奉納特別演奏」ライブレポート ※再掲載

2018年6月6日

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2016年9月19日、奈良・春日大社での「第1回春日野音楽祭」にて、William Ackermanさんによる特別奉納演奏が行われました。
今回はそのレポートをお届けします。

以下がセットリストです。
  • 一般公開公演(奉納大合奏・大合唱オープニング)
  1. Processional ……アッカーマンさん、貴風さん、押尾さん
  2. 彼方へ(本人が曲紹介をされました) ……押尾さんソロ
  3. Visiting ……アッカーマンさん、トッドさん、貴風さん、押尾さん
  • 林檎の庭特別奉納演奏
  1. 貴風さんソロ
  2. Processional ……アッカーマンさん、貴風さん、押尾さん
  3. Unconditional ……アッカーマンさんソロ
  4. 押尾さんソロ
  5. 押尾さんソロ
  6. The Impending Death Of The Virgin Spirit ……アッカーマンさんソロ
  7. Last Day At The Beach ……アッカーマンさん、トッドさん
  8. アッカーマンさんの挨拶
  9. Visiting ……アッカーマンさん、トッドさん、貴風さん、押尾さん

あいにくの空模様の一日でしたが、奉納演奏中にはそれまでの小雨が降り止み、心地よい夜の澄んだ空気となりました。雨上がりの春日山の虫たちの声という形で、春日大社の神秘性をよりいっそう感じた参加者は私だけではなかったはずです。

国内外を問わず高く評価されている尺八奏者の一人、三橋貴風さんの演奏から奉納演奏の儀式が始まりました。力強いその音色が静まり返った境内に響き渡る様子は、まるで別世界の光景を見ている(聴いている)よう。圧巻でした。

続いて、Ackermanさん作曲の『Processional』が披露されます。彼自身がアルバムに何回も収録し直してきた渾身の一曲ですが、今回奏でられたのは、アルバム「Conferring With The Moon」のバージョン。リリコンのパートが尺八でアレンジされ、魂を揺さぶる貴風さんの演奏を再び堪能することができました。

『Unconditional』は、Ackermanさんによるパーラーギターでの一曲です。通常のアコースティックギターよりも繊細に感じられるその音色は、悲しげなメロディをより強調させていました。胸に刺さるほどの演奏により、聴衆はあっという間に彼の世界観へと引き込まれることに…。
追記:今回のパーラーギターは、ヘッジスさんからプレゼントされたものだったという情報をいただきました。ギターについての詳細は、過去のインタビューでも触れられています。

その後、「やったぞ!」と言わんばかりの笑顔のAckermanさんと軽く腕を交わしてから、日本を代表するニューエイジ・ギタリスト、押尾コータローさんがステージへ上がります。彼のソロは、自然界の音のように紡がれるAckermanさんの音楽とはまた違った素晴らしい世界観を創出。優しく、歌心あふれる音楽に、居合わせた誰もが聴き入っていました。(私が押尾さんの曲に疎いせいで、演奏された2曲とも曲名不明です…… ご存知の方がいましたら是非お教えください!)
追記:4曲目が『Legend』(戦国の武将達に捧げた曲)、5曲目が『Nayuta』(岩手の遠野にインスパイアされた曲) という情報をいただきました。

再びAckermanさんのソロとなり、彼の代表曲の『The Impending Death Of The Virgin Spirit』を披露。あまりに美しい旋律と春日大社の幻想的な空間が相まった感動は、一生忘れることができません。

ここで、Ackermanさんのレーベルのパートナーとしても活躍するギター奏者・Todd Bostonさんが、満を持して演奏席に登場。Ackermanさんの曲である『Last Day At The Beach』で、彼とともにリリカルなギターの音色を聴かせてくれました。息の合った共演が終わり、境内を心からの拍手が飛び交います。

Ackermanさんからの挨拶では、感謝の言葉と、次が最後の一曲ということが述べられました。聴衆席の至る所から、「もう終わってしまうの?」という囁きが漏れます。

押尾さんと貴風さんも揃ったところで、ウィンダム・ヒル屈指の名曲と言っても過言ではない、Ackermanさんの『Visiting』の演奏が始まりました。原曲のMichael Manringさんのフレットレスベースのパートを、Toddさんがアコースティックベースで担当。Chuck Greenbergさんのリリコンのパートは、前述の『Processional』と同じく貴風さんが尺八でアレンジ。そこに押尾さんのギターが加わります。Ackermanさんの純真なギターの音色と、貴風さんの伸びやかな尺八の音色が掛け合う様子が非常に印象的でした(尺八バージョンの同曲を聴ける機会は滅多に無いのではないでしょうか?)。

拍手喝采で全曲が終了。スタンディングオベーションが起こり、感動のあまり泣きだす方も現れるほどの素晴らしい公演となりました。その余韻が、あの場に居合わせた人々の心にまだ響き続けていることは間違いありません。

公演に行く前に、現地の喫茶店でお昼をとったのですが、そこで地元の方との会話の機会に恵まれました。今回の公演を知らないとのことだったので、音楽プレイヤーに入れていたアッカーマンさんの曲を聴いてもらったところ、「風情ある雰囲気に合いますね!」と感想をいただけて嬉しかったです。公演後、そのことを思い出し、自然と調和したウィンダム・ヒルだからこそ一段と映える屋外での演奏により、その音楽が日本の奈良の地にしっかりと溶け込んだのだと、しみじみ感じました。

この度のAckermanさんの来日にあたって、当サイトにコンタクトをとってくださったスタッフの方をはじめ、多くの方々のご尽力があったことは言うまでもありません。
本記事をとおして、この素晴らしい体験をより多くの方々に知っていただけることが、彼の次の来日公演に繋がる一助となったら幸いです。

余談となりますが、Ackermanさんのライブの定番曲ではないにしろ、彼と貴風さんの共演曲である『Wondering Again What's Behind The Eyes』の演奏が無かったことを意外に思ったファンの方も多かったと思います。しかし、貴風さんがリハーサルの合間に一人で弾いていたように聴こえました。ファンサービスか、私の勘違い…?

一般公開公演のリハーサル風景(筆者撮影)